TINY MUSIC LIFE

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Bandcampがアーティストに41億円を分配。分配収益を放棄した上でのアーティスト支援

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久しぶりかつ強引にサムネに登場する筆者...

「音楽配信・販売プラットフォームBandcamp、アーティストに41億円を分配。」

こんなニュースが今日飛び込んできました。

 

まず最初の印象としては正直、

「そういえばBandcampって久しぶりに聞いたな。」

というドライなものでしたが、どのような状況にあるのかも気になったので、詳しく記事に目を通してみる事にしました。

 

このニュースを読むまで認識しておらずだったのですが、非常に素晴らしい取り組みを行っていたので、ご紹介を兼ねて触れていきたいと思います。

 

 

Bandcamp Fridaysについて

分配収益を放棄した上でのアーティスト支援

※今回のニュースソース

 

"Bandcamp Fridays"という取り組みがこの「41億円を分配」の話の軸となります。

 

この取り組みは、今年2020年の3月以降、パンデミックにより収入面に苦しむアーティスト支援としてスタートしたもので、その内容は「毎月第一金曜日に販売手数料を免除」というもの。

 

当初は短期的な施策として発表がされていたそうですが、

「パンデミックの終息が程遠い」

という事から今年7月には2020年内継続を発表し、更に今月12月15日には2021年2月、3月、4月、5月にも毎月Bandcamp Fridaysを実施すると宣言しています。

 

「41億円を分配」や「販売手数料を免除」というワードだと読み流してしまいそうになりますが、記事をしっかりと読むと、

【Bandcampのサービスによって生まれたすべての分配収益を同社が放棄する】

という表現も施策説明の言葉として使われています。

こう聞くとグンとリアリティが増しますよね。

 

記事によると、2020年に実施された9回のBandcamp Fridayが生んだ4000万ドル(約41億3000万円)はアーティストやレーベルに分配したと発表されているそうです。

 

加えて同社によれば、

Bandcamp Friday中にユーザーがBandcampに落とした金額の93パーセントがアーティストあるいはレーベルに入り、Bandcamp Friday以外の日に楽曲を購入した場合にも、金額の82パーセントはアーティストやレーベルに入る。

としています。

 

ファンを引き込んだ施策

ここで改めてBandcampというサービスに改めて注目をすると、アーティスト自身で手軽に管理できるSNS的な要素と、楽曲の試聴・販売プラットフォームが組み合わさるようなモデルとして、主にインディペンデントな活動をするアーティストを中心に利用者を伸ばしていたイメージでした。

Bandcamp公式サイト:https://cord.bandcamp.com/

 

楽曲をストリーミングではなく"販売"する機能に強みを持ったサービスであることや、SNS的にアーティスト自身がプラットフォーム上で宣伝活動を行えるという2点が、現在隆盛するサブスク&ストリーミング型の楽曲配信プラットフォームとは異なるサービスの個性とも言えます。

 

このニュースを読んで感じたのは、この2点の違いの重要性でした。

 

記事には以下のような一文がありました。

アーティストを支援したいファンを引き込む重要な取り組みで、全9回を通じておよそ80万人がBandcampで楽曲を購入した。 

サグスク型(定額課金)ではなく販売型であること、加えてSNS的特徴を持っていることから(アーティストに直接手の届く感触がある)、ファンの目線からすると支援の手触りや体温を実感しやすく、"購入"という形も直接的な支援の実感がある為、非常にアーティスト支援に向いたプラットフォームだったように感じました。

 

ストリーミングでも勿論、再生回数から分配する形で同種の支援施策は可能ですが、やはり「アーティストから直接楽曲を購入する」という手触りのあるBandcampと比較をすれば、支援のしがいは大きく違うでしょうからね。

 

最後に(まとめ)

という訳で、恥ずかしながら私はしばらく注目をしていなかったBandcampだったのですが、このコロナ禍でこのように非常に有意義で素晴らしい取り組みを行っていました。

 

同記事によると、

この他にも、Apple Musicは独立系レーベルが確実にアーティストへの支払いを行えるようにと5000万ドル(約51億6000万円)の著作権使用料(ロイヤリティ)の前払いのための基金を設置した。

それに対し、先日Spotifyはアメリカ独立系会場協会(NIVA)に50万ドル(約5200万円)の寄付を行うと発表。NIVAは、3月から唯一の収入源を失い窮地に立たされる独立系ライブハウスへの支援を米政府に呼びかけ続けている。

このように他の配信プラットフォームによる支援の取り組みについても触れられていました。

 

当然これは純粋な献身だけではなく、

「アーティストがいなくなったら自社サービスも破綻する」

という打算も存在はする事でしょうけれど、だとしても最大限賞賛したいなと思った次第です。

 

現状、音楽業界のビジネスモデルとしては、もはやインフラと言っても良いレベルにまで一強勝ち馬になっている音源配信プラットフォームな訳ですから、「日本の企業ももっと支援策に取り組もうよ。」と一寸思ってしまいましたが、先日このブログでもまとめたように、日本国内でシェアを占める配信サービスもほぼほぼ海外企業のサービスでしたね。苦笑&涙

 

ではまた明日◎

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